『さっちゃんのまほうのて』
数年前読んだ本であるが、最近とある掲示板で話題になり、またあるところでお薦めをうけたので、久しぶりに読んでみることにした。息子のほうは通っていた幼稚園にあった本なので記憶にあった。しかし娘は赤ちゃんだったので、もちろん覚えていない。
この本は、さっちゃんという元気な幼稚園に通う女の子が主人公。さっちゃんのお母さんのおなかは今まんまる。もうすぐさっちゃんはお姉さんになるのだ。さっちゃんのクラスではいま、おままごとが盛ん。お母さんになる子はいつも背の高い女の子と決まっている。そのほかに元気のいいアキラくんが、よし今日はお父さんが料理を作ってやるぞ、なんて張り切ったりしているらしい。でもさっちゃんはある朝大きなお母さんのお腹をなでながら、どうしても今日は私がお母さんになりたい、と思った。
幼稚園について先生が今日は誰がおかあさんかな、と声をかけたとき、一番に張り切ってエプロンをとりにいき名乗りを上げたのはさっちゃんだった。ところがいつものお母さん役の子がだまっていない。さっちゃんは、手が無いからお母さんになっちゃだめ、手の無いお母さんなんてへん、とみんなの前で叫ばれてしまう。そう、さっちゃんの右の手には、指が一本も無いのだ。みんなもあれこれ反対する。さっちゃんはとっくみあいの大喧嘩の末、靴もカバンも持たずに家まで走って帰ってしまう。そしてお母さんに泣きながら尋ねるのだ。指がない理由を。お母さんも涙をこぼす。お母さんのお腹の中で命の粒だったさっちゃんが、育つ途中でどうしてかわからないけど怪我をして、右の指が育たなかったのだと。小学生になったって、その指は生えてはこないのだと。(さっちゃんと娘に続く)
偕成社 (1985.10)
通常24時間以内に発送します。
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コメント
『さっちゃんのまほうのて』、読みました。以前から筋は知っていましたが、実際に読んだことがなかったのです。ののかさんの記事がきっかけで、図書館に予約して、今日、読みました。何度も読みました。5年越しで作られた絵本というだけあって、よくできていますね。
お父さんの言葉がさっちゃんに手の障碍を乗り越えるきっかけになっていますが、自分の抱えているハンディを乗り越えるきっかけは人生の中で必ず与えられるような気がします。
いい絵本をご紹介下さってありがとうございました。いずれ「ほのぼの文庫」でもアップしたいと思っています。
投稿: まざあぐうす | 2005/07/05 22:37
私は、さっちゃんが鏡で自分の姿を映してみるところが、とても印象的でした。私も娘をだっこして、鏡に映してみた経験があるからです。娘がいつもと違った目で、自分の姿を鏡に映す日がくるのだろうか、くるのだろうな、と思います。
投稿: ののか | 2005/07/06 02:47
ののかさんの記事を読んでから図書館に予約を入れました。すぐに届き、今まで延長して読み続けました。
本当に良くできた絵本だと思います。
今日、レビューをアップしましたので、トラックバックさせていただきますね。
投稿: まざあぐうす | 2005/07/28 12:42
まざあぐうすさん、トラックバックありがとうございます。
何度読んでも、本当によくできた本だと思います。大人でも子どもでもOKですよね。
レビュー味わい深く読ませていただきました。
投稿: ののか | 2005/07/28 17:32
この絵本には女の子の憧れが詰まっています。
投稿: いぬ研究所 | 2007/04/12 13:54
いぬ研究所さんへ。
そうですね、本当にコドモノキモチがよくわかる絵本ですね。
投稿: ののか | 2007/04/13 21:24