蜩・ひぐらし
夕方、庭でひぐらしが鳴いた。こんなそばではあまり聞いたことがないので、ちょっと驚く。私にとってひぐらしは、黄昏どきに遠くの森から聞こえてくる、そんなイメージなのだから。
ひぐらしを聞いて思い出すのは、社会人になり、伊勢神宮を友だちと旅したときのこと。季節は盛夏。参道の高い木々の間を渡るように、ひぐらしの声が響いていた。現在と古の時をつなぐようなその鳴き声は、今も忘れることが出来ない。
もう一つ思い出すのは、子どものころ毎年行ったプールのある山の寮。遊び疲れて家族で昼寝。遠い山々を渡るように響いてきたひぐらしの声を、まどろみながら聞いていた。。
平和なときを忘れないでねと呼びかけてくるようなその響きは、私の最も愛する夏の風物詩だ。
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