『向田邦子の恋文』
タイトルにひかれて読んでみた。51歳で飛行機事故で亡くなってから、20年。9歳下の妹が遺品のなかにあった恋人N氏と邦子の間に交わされた手紙や日記を、ようやく公開することにし、それにともない幾つかの小文を載せている。
ああ、向田邦子を支えていた秘めた恋とは、こういうものだったのか、という感想。こんな男とこんな女の物語があったのだ。妻子あるカメラマンの恋人になり、被写体として残された写真の、なんと美しいこと。その人は後に家庭から離れられそうになったけど、脳の病気で体が不自由になり、2年後自殺してしまう。遺された向田邦子は、その悲しみを力に換えて、優れた作品を世に出し続けた。
なぜだか読み終わって、あまり気持ちがよくない。姉が誰にもわからないように秘密にしていた恋だったのだから、そのまま秘密にしておいて欲しかったような気もする。美しい写真のわけがわかって、なるほど、という気持ちももちろんあるのだが。
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コメント
こちらでは、初めましてです。
少し記事の内容からずれるかもしれませんが、向田邦子さんがらみということで。
「向田邦子の青春」という本が好きで何度も読み返しています。この本にも数々の美しい写真が載っています。
その中に、恋人の撮った写真もあったのだろうかと思いました。
私は向田邦子さんの著作は、あまり読んだことはないのですが、本当に美しいもの、美しい言葉が好きな方だったのではないかと思います。
投稿: 野乃花 | 2005/10/24 19:48
野乃花さん、こんばんは。ようこそいらっしゃいました。
向田邦子ですが、私も沢山読んだ事があるわけではないのです。
~青春のほうも、妹の和子さんが書いたものですよね。
私もそのうち読んでみようとおもいます。
邦子さんは、きっと、自分の眼がしっかりあった方で、優しい人だったと私は思っています。これからもどうぞよろしく。
投稿: ののか | 2005/10/24 20:40
yuzukiさん、高校時代からですか。
いや~大人だったんですねえ。
私は40にしてようやくこの世界に入り込んだ感じです。まだまだこれからですけど、味わいつつ読みすすめたいとおもいます。
>ののかさんの心を映す感想に心惹かれました。
いや~。私も秘密にしておきたいことがあったから、そんな風に思うのかもしれないですね。
投稿: ののか | 2005/10/25 20:44