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2005/10/04

人は死んだらどうなるのか

妹は幼い頃,「人が死んだらどうなるのか?」という疑問を抱えて、とても悩んだことがあるのだそうだ。その問いを彼女はしばらく胸に抱えていたが、その重さに耐えかねてあるとき母親に問うてみた。しかしその答えは彼女が考えていたような重さではなく、あまりにも軽かったので、以来妹はこの大きな問いを胸にしまってしまった。そして私たちはやがて大人になって、それぞれ人の親になった。30年もの時を経て、ようやく妹は私にその秘密を語ってくれた。あまりにも簡単に片付けられて、悲しかった思い出を。

さて、「人が死んだらどうなるか?」これは古今東西多くの人が、一度は通り過ぎた悩みであるようだが、私は残念ながらその深遠な疑問を抱いたことがなかった。そんな私がその疑問の明確な答えを知ることが出来たのは、エリザベス・キュープラー・ロスの著作の中だった。ロス博士の自伝『人生は廻る輪のように』に、博士の夫が死んだ時に彼女に残したメッセージ(玄関先におかれた赤い花)のエピソードがある。ロス博士は、『死ぬ瞬間』やその後の一連の著作を通じ「死」を説明するとき、さなぎから蝶が離れる様子をイメージとして使う。蝶が孵って花畑へ飛び立つように、魂は体から離れるというのである。だから、死は怖くない、と。それを死ぬにあたり、夫が彼女にわかる形で見せてくれた赤い花のエピソードは印象的だ。情緒的な文章ではないので、その感動を噛み締めることはむずかしかったのだけど、昨日読み終わった梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』は、まさにこの問題を扱った児童書であり、十分に味わいのあるものだった。

主人公のまいは、自然あふれる祖母の家で特別なひと時を過ごしたことがある。中学になじめず、母親からも「扱いにくい子」と思われ、居場所がない気持ちになっていたまい。その祖母は、イギリスから教師として来日し、同僚の日本人と結婚し家庭に入った人である。まいの母を生み、その後夫に先立たれて山の中で一人暮らしをしている祖母と暮らすうち、まいは少しずつ成長していく。魔女修行と称して祖母は、大切なことをまいと語り合うのである。自然のなかにほっとできる場所をみつけるまい。鶏が獣に襲われ無惨な姿になった場面を目撃するまい。大好きだった祖母と最後には気まずい別れ方をしたまいは、2年たってその訃報に接し、母と共に祖母の家へ向かう。そこでまいは、彼女に愛情をかたむけてくれた祖母の、あるメッセージをみつけるのである……

西の魔女が死んだ

梨木 香歩著
新潮社 (2001.8)
通常24時間以内に発送します。

ところで魂の重さは何グラムだか、ご存知の方はあるだろうか?この記事を終わるにあたり、私の訪れるネット教会の牧師のショートメッセージ、心のありかを紹介しておこう。

追記 : 母が毎朝、池の金魚に餌をやっている。この金魚、もう何十年も一匹だけ生きていて、母が大切にしていた友だち。ところが今朝、やられてしまったのである。憎むべきは、猫だろうか。池には赤いひれのちぎれたものが、浮いていたという。母が朝からがっくりうなだれていたので、昨日読み終えた『西の魔女が死んだ』を貸してあげた。慰めになるとよいのだが。

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コメント

ののかさん、おはようございます!

お母様ショックだったでしょうね、何十年も仲良くして来たんですから・・・。
早く元気になりますように。
「21g」が魂の重さなんですね、以前こう言うタイトルの映画がありました、見ていませんが、とても重い21gですね。

投稿: かおちゃん | 2005/10/04 08:50

 妹さんが30年経て語られた言葉、人の心って、はかり知れないですね。無意識の世界の奥深さを思います。

 お姉さんに語ることを通して、心のどこかで癒されたのではないでしょうか。

 人はどこからきて、どこへ行くのか、私は誰にも言わずに4歳くらいから、疑問を抱き続けています。
 未だに明確な答えを得ていませんが、それを知ってゆくのが人生なのでしょうね。
 ロス博士の著書、いつか読んでみたいです。

 『西の魔女が死んだ』、大好きな作品です。後ほど、植物アルバムの記事をトラックバックさせていただきますね。

 お母様の心が癒されますように祈っています。

 

投稿: まざあぐうす | 2005/10/04 19:45

ののかさん、こんばんは。
かおちゃんも書いてありますが、お母さんの大切な金魚、気を余り落とされないことを願っています。ボクもブログで書きましたが、大切にしていた金魚たちのことを思い出します。可愛くて愛おしい。一心同体なんですね。
「心のありか」を読ませてもらいました。これからもことあるごとに読み直したいと思います。

投稿: GTU | 2005/10/04 19:50

>かおちゃんへ、コメントありがとうございます。
母は、大変な落ち込みようで、もうあの池を悲しくてみることができないから、つぶしてくれと言っています。
しばらく私も、喪のときを過ごさねばなりません。

投稿: ののか | 2005/10/04 21:03

>まざあぐうすさんへ。
コメントとトラックバックありがとうございました。
『西の魔女が死んだ』を読んで、登場する草花や木がわかればもっといいのに、と思っていたので、植物アルバムとても嬉しく拝見しました。実はまざあぐうすさんが、梨木さんのファンだということで、読んでみたんです。この間はエッセイのほうも読みました。西と東、とか、体と魂とか、夢と現実とか、いろいろなことを考えさせてくれるこの児童書を書いた、梨木さん、素敵な人だなあと思いました。

ロス博士は、自伝はちょっと読みづらいのですが、その他の著作は内容は大変興味深いです。私は著書全部持っています。
そのうちどうぞ試してみてください。

投稿: ののか | 2005/10/04 21:09

>GTUさんへ。
金魚もやっぱり、かわいいんですね。
母が近づくと、浮いてきて、餌をほしそうにしていました。
いつも母はにこにこして世話をしていたんです。母の心配をいただき感謝です。
本当に悔しくて、母がかわいそうでなりません。

それから、牧師のメッセージ、よいでしょう。この方は、関西の私立高校の先生です。
私と同い年のサラリーマンだったんですが、その後このような道を歩まれました。
やはり、学校では、ご苦労が多いそうです。

投稿: ののか | 2005/10/04 21:14

ののかさん、こんにちは。
お母さん、その後どうですか・・・。
少しは元気になられたらいいのですが(-_-;)

投稿: GTU | 2005/10/05 15:47

>GTUさん、ご心配ありがとうございます。
母は、天気も悪いし、庭に出なかったみたいです(*^。^*)

心の傷はきっと時が癒してくれるでしょう……

投稿: ののか | 2005/10/05 17:49

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梨木香歩さんの『家守綺譚』の植物アルバムに続いて、『西の魔女が死んだ』に出て来 [続きを読む]

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