10月末アメリカの公民権運動のきっかけであるバス・ボイコット事件(1955年12月・アメリカアラバマ州モントゴメリー)の発端となった女性~ローザ・パークスさんが亡くなった。天寿をまっとうし、92歳だったという。
この事件をきっかけに、まだ牧師になって間もなかったマーティン・ルーサー・キング牧師は、公民権運動の先駆的な役割を果たすことになった。以後、力強い言葉を数々残し、非暴力でその権利を勝ち取るために奔走。インドを独立へ導いた、マハトマ・ガンジーを倣ったのだ。その発言や行動は、多くの黒人の支持を受けた。大きな壁があったが、キング牧師をリーダーにして黒人たちは、非暴力で戦い続けた。キング牧師は、黒人だけでなく、虐げられたあらゆる人のために命がけで闘った。そして10年の闘いの後公民権法が確立し、その功績が認められキング牧師は1964年にノーベル平和賞を受賞。しかし、その4年後、メンフィスのホテルで銃弾に倒れる。享年、39歳。今生きていれば、80歳を越えていた。
「暴力に、暴力でこたえてはならない。」
「愛こそがあらゆる問題を解決する、たったひとつの鍵なのです。」
「私には夢があるのです。あのアラバマにおいてさえ、いつの日かきっと、幼い黒人の少年少女たちが幼い白人の少年少女たちと兄弟姉妹として手をとりあい、力を合わせる日が来るだろうと。」
法律ができた今でも人種差別の闘いが続くアメリカではあるが、キング牧師の生まれた日は、国民の祝日として祝われているということだ。
私の家のベランダには、今ようやく3つ目の綿の花が開いた。このきれいなかわいい植物を、その昔アメリカの南部では黒人を奴隷として働かせ畑で大量に栽培していた白人がいたのだ。そこまで想像力がなかなか働かないのも仕方ないと思うけれど、バス・ボイコット事件のパークスさんの死をきっかけに、幾つか本を読み(と言っても、入門書ですが…)、紹介を兼ねて記事にした。
凶弾に倒れる前の最後の演説を、師はこう締めくくったという。
「神は私に山の頂へ行くことをお許しになりました。そして、私は山の向こうを眺めてみました。そこに、私は約束の地を見たのです。みなさんとともに、あの約束の地へ行くことは、私にはできないかもしれません。…われわれは、みな、いっしょに、約束の地へ着くことができるということです。…」
これはまるで、モーセがエジプトからイスラエルの民を率いて40年も荒野をさまよいながら、ようやくカナンを臨む頂にたどりつきながらも、その地を踏むことなく死んだことを思わせる。映画「十戒」が脳裏に浮かぶのは、私だけではないだろう。
辻内 鏡人著 / 中条 献著
岩波書店 (1993.6)
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ドリーン・ラパポート文 / ブライアン・コリアー絵 / もりうち すみこ訳
国土社 (2002.11)
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