あさのあつこ『バッテリー』
職場の人が、「ののかさんのお子さんや甥ごさん『バッテリー』なんて読んだりしてるんですか?」と訊かれて何のことかわからなかった。この頃本屋に行っていないので、文庫になって山積みになっているバッテリーシリーズを、私は知らなかったのだ。「児童書ってことなんですけど、あまりにも内容が濃いので、私読みながらびっくりしちゃって、子どもが読んだらどういう風に感じるのかなあって思ったんです…。」普段感情をあまり表に出さない彼女の発言に興味を持った私は、帰りがけ本屋に寄ってみた。すると、本当だ、山積みになっている。映画化されるとも言う。ほう~。では一冊買ってみるか。
夕食時、中2になる野球少年Tに本を見せて言う。「読んだら貸してね。」Tの回答。「俺持ってますよ、全部読みました。」(なぬ?おぬしやるの~!!)「それ、小学校の図書室にもありますよ。」御見それしました。知らぬは私ばかりなり~。それから読み始めて、情報をくれた彼女の言っていたことの意味がわかった。これが児童小説か!!圧倒的な文章力。圧倒的な人物描写。
書き出しの部分の季節は、丁度今頃か。これから中学にあがる巧という天才ピッチャーが、山間の町に越してくる。父の転勤(左遷?)で、母の生まれた街に戻ってきたのだ。母の実家には、母と折り合いが悪い祖父が独りで住んでいる。そこにその春から同居するのだ。巧の祖父は甲子園に出場した高校の野球部の監督をしていた人間で、家庭をそっちのけで野球にのめりこんでいたため、一人娘から嫌われたのである。その孫が、母親の渋い顔をそっちのけで野球に人生をかけている。自信を裏付けるようなトレーニングを積んでいる巧の球を受けることの出来る人間は、そうはいない。巧はその町で、豪という体の大きい同学年の少年と出会う。病院の一人息子の豪は、心も体と同様大きな少年であった。2人はバッテリーを組むために出会った~運命の出会い。それから物語が展開する。巧には病弱な青波という弟がおり、母の関心はもっぱら弟に注がれる。尊敬できない父親。複雑な思いを持った巧は、13歳の心~自分で自分をコントロールしきれない思春期のもやもやを抱えている~を持っている。子どもでもない、大人でもない季節を、巧は野球をしながら生きていく。
これから続きを甥に貸してもらうところ。楽しみである。すごい、とにかくすごい。
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コメント
はまりました、はまりました。バッテリーを夢中で読んで、「TheMANZAI」、「福音の少年」と読みました。今は文庫にもなっているから、どんどん読み進んでいってくださいね。
投稿: マーガレット | 2006/02/15 22:47
マーガレットさん、こんばんは。
マーガレットさんもはまったんですね。
これ、本当にすごい小説ですよね~
続きが楽しみ・楽しみです。
投稿: ののか | 2006/02/16 21:46