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2006/06/14

「かもめ食堂」

映画館は今日は、レディスデイ。モーニングショーを狙って、朝早く出かける私。今朝は、大好きなNHKの朝ドラの「純情きらり」もパス。9時半開始だったが、9時10分には新宿に到着。まだ満員になっていなかったので、今度こそ「かもめ食堂」(←ここをクリックすると、映画の公式ホームページをご覧になれます)を観ることができた。わ~い。期待通りの面白さ。しかしこれは、おなかのすいている人は、決して観てはいけない映画なのである。

さて内容はというと、フィンランドの首都・ヘルシンキに「かもめ食堂」という店をひらいた日本人の女性サチエ(小林聡美)が、この映画の主人公。客はなかなか入らない。やがて、日本かぶれの学生が、コーヒーを飲みに訪れる。第一号の客なので、コーヒー代はいりません、とコーヒーを振舞うと、毎日タダのコーヒーを飲みに、その学生は訪れる。「たれだ、たれだ、たれだ~♪このガッチャマンの歌の続きを教えてください。」という学生のために、サチエは本屋でムーミンの日本語の本を読んでいた日本人女性・ミドリ(片桐はいり)に声を掛ける。それがきっかけで、ミドリはサチエと同居して、店を手伝うことになり…。鮭・おかか・梅干というおにぎりが、この店のメインメニューである。ミドリの提案でフィンランド人になじみのある、トナカイやザリガニ、ニシンなどを試したが、やはりおにぎりには合わないので、純日本風にこだわることになる。しかし、やはりおにぎりを誰もが注文しない。やがて、コーヒーをおいしく入れるまじないを教えてくれる謎の男が現れたり、毎日店の前に立って、睨みつけていく女性が登場したり。とうとうある日、いいにおいのするシナモンロールを焼いたところ、冷やかしで通り過ぎるばかりだった3人組の中年女性が、客となって店に入ってくるようになり…。やがてマサコ(もたいまさこ)が加わり、味わい深い映画は続いていく。

人生の平和なときは、いつまでも続かない。望まない変化は、必ず訪れる。だけど人間というものは、そんなときでも必ずおなかが空くのである。そして、おなかがいっぱいになると、また新しい幸せと出会えるのだ。そういった人生の当たり前な問題や人生の価値ということについて、忙しい日本の生活の中ではなかなか考えることが出来なかった私だが、ひとときスクリーンの中のフィンランドに心が飛んで、考えることが出来てよかったと思う。そしてまた、のんびりゆっくりとした自然の中ですごすフィンランド人を、心からうらやましいと思ったのである。

実は今度の日曜に、フィンランドのお客さんが私の教会にやってくるので、映画の中で幾度も繰り返された“ようこそ、いらっしゃい(Tervetuloa)”というフィンランド語をもっと練習して、鮭のおにぎりと共にお迎えしようと思っている私。勇気があれば、先日焼いたシナモンロールを、この映画のパンフレットに載っていた方法で、もう一度焼いてもいいのだけれど…。さて、どうしよう?

話は戻るが、映画の中でサチエとミドリがかわしていた会話の通り、もしも明日この世界が終わるとしたら何をしたい?という問いかけに、私も「おいしいお料理をいっぱいつくって、仲の良い人たちと美味しく食べたい」と答えたい。穏やかでしみじみと心が通う食卓を囲むときこそ、一番幸せな時間だと私は思うから。

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コメント

yuzukiさん、コメントありがとうございます。

この映画、きっとyuzukiさんに気に入っていただけると思いますよ~。

私最近本当にしみじみ、穏やかに笑いあって食事ができるって、幸せだなあって思っているんです…。

投稿: ののか | 2006/06/14 23:17

ののかさん、お晩です~。
そうでんなあ~「食卓の風景」こそ人生において大事にしなあかん時間なんやわなあ~。
川端の「山の音」の中にも、そんな風景が出てきますわ。映画にもなってますで。
まあ自身、、のような仕事さしてもろてますさかいよう分かります。
映画館では難しいやろけど、レンタルされたら是非観てみます~。ほな、また。さいなら。

投稿: sada | 2006/06/16 22:34

sadakichiさん、おはようございます。
おお、『山の音』なら、家にあったなあ。
読んでみますね。
コメントありがとうございました。

投稿: ののか | 2006/06/17 07:15

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