『チソン、愛してるよ。』

チソン、愛してるよ。

posted with 簡単リンクくん at 2006. 6.17

イ チソン著 / 金 重明訳
アスペクト (2004.3)
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韓国の美しい女子大生であったイ・チソンさんは、２３歳のある日、兄の運転する車に乗り信号待ちで停まっていた。そこに泥酔状態のドライバーが運転する車が突っ込み、車は炎をあげた。

その悪夢のような出来事は、２０００年の７月３０日に起きた。炎に包まれ上半身が丸こげになる大やけどを負った妹を、爆発寸前の車から救い出してくれたのは兄だった。それから、地獄のような日々をチソンさんは送り、命をとりとめたものの、焼け焦げて皮膚がなくなった顔に繰り返される手術や、使えなくなってしまった８本の指の先端の切断手術、繰り返される皮膚移植…、心無い言葉を投げつけられることを、彼女とその家族は乗り越えたのである。

「あんなになっても生きていけるの？」「ハイ、生きています。」どれだけ泣いたことか、どれだけ苦しかったか、どれだけ悲しかったか、想像を絶する苦難だったと思うのだが、この人を支えたのは、強い信仰と、強い家族愛と、強い健康な心だった。

私は、いくらなんでもこの人は、やせ我慢が過ぎるだろうし、読みづらい本だろうと思っていたのだが、読み始めてその純粋な文章に、心打たれた。なによりも、自分を哀れんでいない強さが、読む私のことも励ましてくれる。心がいつも穏やかなわけはなかろうが、いつも上を向いて、自分の運命に身をゆだね生きる姿は、輝いている。

チソンさんの新著、『きょうも幸せです』の紹介はこちら。彼女のホームページの紹介もある。

目に見えることだけが大事なのではない。目に見えないことが、大切なのだ。顔に痣のある赤ちゃんだった娘を抱きながら、「この子は目の見えない人となら結婚できるかもしれない…。」と悲しみにくれた過去を思い出しつつ、深く心動かされ読んだ本だった。