『赤い目のドラゴン』
毎年10月になると、有名な長くつしたのピッピを生み出したリンドグレーンが書いた『赤い目のドラゴン』という絵本を、こどもたちに読むことにしている。このお話は、ある4月に豚小屋のある牧場に暮らすある姉弟のところに、赤い目をしたドラゴンの赤ちゃんがやってくるところからはじまる。豚小屋の赤ちゃん豚たちに混じって一匹のドラゴンがいるのをみつけたとき、幼い子どもたちはびっくりしたのだが、豚のお母さんがドラゴンの世話をしないのを知ると毎日一生懸命豚小屋に通ってドラゴンを育て、大の仲良しになった。さてドラゴンの大好物はなんだろう?こんな不思議なことをこの子たちは知っていて、豚の赤ちゃんと喧嘩しないですむように大切に育てた。
しかし、ドラゴンと子どもたちの夢のような日々は、いつまでもは続かなかった。赤い目をしたドラゴンは、何か秘密を持っているようだった。ときどきわけもなく不機嫌になり、悲しそうに過ごす日があった。子どもたちにはその意味はわからなかった。ただふてくされているのかとも思った。けれどその意味が解ったのは、10月2日のことだった。
ドラゴンは、ドラゴンの目のように真っ赤な夕日にむかって、その日旅立ってしまったのである。その日は冷たい空気の中でこどもたちはまきばにおり、ドラゴンと豚たちが体操をしているのを眺めていた。するとドラゴンが子どもたちの前にやってきて、目に涙をいっぱいうかべてすりよってきたのである。それがお別れの挨拶だった。やがてドラゴンは飛び立った。ドラゴンが飛べるなんて、誰も知らなかったのに。
「…わたしは そのばん、本をよみませんでした。おふとんをすっぽりかぶって、赤い目をしたみどりいろの わたしたちのドラゴンのことをかんがえて、なきました。」
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コメント
ののかさん
この時期とはミカエル祭があるからなのですか?それとも他に何か理由が?
なんだろうと思うと気になって聞いてしまいました。
投稿: マーガレット | 2006/10/02 09:35
マーガレットさんへ。
説明が足りなくて、わかりにくい記事になってしまいました、ごめんなさい。
ドラゴンとのお別れが10月2日だったから、10月になると思い出すんですよ。このお別れのシーンが、とっても悲しくて、子どもの気持ちになるとつ~んとしてしまうのです…。
昨日この本を1年ぶりに読んだので、子どもたちは懐かしがって、そして一緒に悲しがってくれました…。
投稿: ののか | 2006/10/02 10:18