絵本『フレデリック』
夏の終わりから、眠る前に必ず絵本を一緒に読むという習慣が復活している。絵本は楽しい。心が落ち着くし、心が通う。だから私も娘も、絵本が大好き。
そんな私が昨晩選んだ絵本は、『スイミー』で有名なレオ・レオニの作品で『フレデリック』というネズミの物語。内容はこちら(←ここをクリック)。
ちょっと変わった仲間がいても、見守る仲間たちのことを私は気に入った。余裕がないときは、なかなかこういうことはできないものである。働かなきゃいけないときに超然とのんびりとしている仲間がいると、普通仲間は不満を言う。有名な話としては、新約聖書のマルタとマリア。イエスを家に招いたために準備に余念がないマルタは、イエスの足元でその話を聞いて全く働かないマリアに腹をたてる。当たり前だ。私は断然マルタ派である。だけどイエスは不満を言うマルタに、マリアはもっとも大切なことをしているんだよ、とおっしゃる。聖書の解釈は難しい。現実主義者には、にわかに理解しがたいところである。
では絵本の『フレデリック』ではどうだっただろう?フレデリックの仲間たちは、自分たちが冬に備えて食糧を備えているときに、フレデリックが働かないことに腹をたてなかった。フレデリックなりにやっていることがあるのを理解してくれた。フレデリックはお日様の光や、咲き乱れる花の色を集めていたんだ。ただその訳は、誰もわからなかった。
そして、寒い冬がやってきた。やがて蓄えも底を尽き、身体も心も寒くなったねずみたち。そんな彼らを励ましたのは、フレデリックの語る言葉だった。フレデリックは詩人だったのだ。その言葉によって、仲間たちは咲き乱れる花の色を思い出し、降り注ぐ太陽を思い出し勇気を取り戻した。このように、役に立たない人なんていない。私たちにはわからないけど、人にはそれぞれ存在する意味があるのだ。それを否定してはいけない。子育ての基本だけど、生活に追われてついおろそかにしてしまっていた私に、一番大切なことを教えてくれたちょっとかわったのねずみのフレデリック、この絵本を作りだしたレオ・レオニと、日本語訳をした谷川俊太郎さんに、心からありがとうと言いたい私。
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