香料
図書館で雑誌を配架しようとブックトラックを押していたら、なんだかいい香りがした。気のせいではない。確かにどこからか、いい香りがする。レモンティーの香りだ。しかし図書館は、飲食禁止。レモンティーの香りがするはずがないのに、不思議だなあと思いながら、私は仕事を続けた。
崩れない程度に山になっている雑誌から、一冊一冊本を手に取っては所定の場所に配架しいく作業は、私の好きな仕事だ。気持ちが落ち着く。誰にも邪魔されない、心地よい時間。それにしてもレモンティーの香りがいい感じ。さわやかで、脳が活性化するような気がした。どこから香ってくるのかなあ。…やがて雑誌の山の数は減っていき、私はそろそろカウンターに戻らなくてはならなくなった。あ~あ。
そのとき、とうとう香りの主がわかった。『香料』という毎月日本香料協会から出されている雑誌だ。この雑誌の見開きに、毎月違う香りの匂い紙が貼ってあるのだが、4月号が私にはレモンティーの香りに思える「ネロリ」だったのである。
あなただったのね!さわやかな香りをありがとう。「ネロリ」とは初めて聞く名だ。忘れたくないから手のひらに名前をボールペンでメモして、私は本棚を去った。
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