窓辺にて
昨日の昼下がり、娘が出かけていて寂しかった。
私はひとり椅子に座って、ぼんやりと物想い。
そんなとき風を感じてふと窓辺に目をやると、オレンジ色のタオルと娘の白いレースのワンピースが、ハンガーにかかって揺れていた。
娘の好きなタオルと、今日着ていかなかった白いワンピースが、窓辺でダンス。楽しげに軽やかに。
娘の不在の寂しさを吹き飛ばすような楽しい光景を見て、わたしはエッツの『ジルベルトとかぜ』を思い出した。
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朝5時前に目覚めた。今朝はひんやりした空気だ。
雨戸をあけると東の空は、茜色に染まっていた。
ぽつぽつと小雨が降っている。狐の嫁入りか。
もしかしてと淡い期待を抱いて西の空を見上げると、屋根の谷間に虹が見えた。
思いがけない早朝の虹。
私は旧約聖書のノアの箱舟を思い出し、弱っていた心が強められた。
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