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2009/12/18

黎明

そろそろ起きださねば、とまだ夜が明けない暗闇の寝どこでまどろんでいたら、揺れが来た。ワッ!私はびっくりして、すぐ隣に寝ている娘の上に覆いかぶさって、どきどきと揺れがおさまるのを待った。

震度いくつくらいだろうと考える頭の一方で、私は15年前の阪神地区を襲ったあの大地震のとき、こうやってわが子の上に覆いかぶさった親たちと、同じ気持ちを味わっていた。揺れが収まるどころか、多くの家の屋根が落ち、混乱する暗闇の冷たい空気の中で必死に探り当てた子どもの手が冷たくなっていった人も、きっといたに違いない。やりきれない思いで、遺された人は今も暮らしているのだろうなと思う。夜明け前の暗闇は、本当に暗い。

地震で目覚めた娘が、布団の中で私の手を探り当て、両手で握ってきた。守りたい命がここにある、と私はその暖かい手を握り返しながら、しみじみ思った。

もう一度娘が眠ったので、私はそっと起きだして階下に降り、雨戸を開けた。外はまさに黎明の時刻。東の空の夜明けの光は、天地創造を思わせる美しさであった。私は生きていて、また今日も一日が始まった。

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