« ぶるぶる運動会 | トップページ | わたしの思い »

2010/05/30

愛の記憶

映画"THE BURNING  PLAIN"を観た。とても重い内容である。十数年前のアメリカのニューメキシコの荒野で起こった悲劇と、現代の寒々とした海辺の町・ポートランドが交錯しながら、映画は淡々と進んでいく。

悲劇とは、ある人妻と隣町の男性が逢引きしていた、暑く乾いた町はずれの荒野のトレーラーハウスが炎上した事件。人妻(キム・ベイシンガー)には4人の子どもがいたが、彼女は2年前に病気で手術をして以来、夫に女性として愛されなくなっていた。隣町の男にも家族があった。彼女は自分を女性として愛してくれる隣町の男と出会い、再び生きる力を得たようだ。しかしその火事で、不倫をしていた二人は帰らぬ人となる。彼の次男は二人のそれぞれの葬式のあと、人妻の長女、マリアーナに近付き、愛する親を失った悲しみを分かち合う。やがて二人の交際は周囲に知られるようになり…。

私は現代のマリアーナ(名前を変えてシルヴィアとなっている)を演じたシャーリーズ・セロンを"NORTH COUNTRY(スタンドアップ)" で見て以来すごい演技力を持った女優だなあと思っていたが、この映画でもしかり。重い過去を引きずりながら自暴自棄に生きる女性を、見事に演じている。彼女は荒野から離れ、海辺の町のレストランで、マネージャーとして成功していたが、見知らぬ男性と次々と付き合うような棄て罰な生き方をしていた。しかし彼女は、産んで二日後に置き去りした娘が登場したことで、自分を苦しめている過去とついに対決することになる。そして…。

過去の傷の深さのあまり、立ち上がれない人々。しかし中には時を経て、また立ちあがる強さを持っている人がいる。彼女のように。彼女を再び明日に向かって歩ませた力は、愛の記憶である。深い傷を癒すには時間がかる。罪を償うために。罪悪感から逃れるために。しかし彼女が自分が生んだ娘に出会い、赦しを乞い許されて立ちあがった今、失われた時間を取り戻すために、そして愛のある生活に踏み出すために、支えてくれる人たちがいることが何よりの希望の光であると私は思った。

あの日、欲望の大地で [DVD] あの日、欲望の大地で [DVD]

東宝 2010-03-19
売り上げランキング : 3668
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
スタンドアップ 特別版 [DVD] スタンドアップ 特別版 [DVD]

ワーナー・ホーム・ビデオ 2006-06-02
売り上げランキング : 17549
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

|

« ぶるぶる運動会 | トップページ | わたしの思い »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 愛の記憶:

« ぶるぶる運動会 | トップページ | わたしの思い »