桃
夏は桃が美味しい。なのに私は、桃というと、小さい時に蟹の可愛い刺繍が襟に着いていた白いブラウスに、桃を食べる時うっかりつけてしまった茶色いシミを思い出す。母がとてもがっかりした顔が今でも目に浮かぶ。だからうっかり、買い物できない。洋服にシミをつけたら大変、とまず思ってしまう。
しかし長男を出産した夏、お祝いにいただいた美味しい桃の味は忘れられない。美味しかった。あの桃のお陰で、暑い夏と不慣れな赤ちゃんの世話を乗りきれたような気がする。あれはよい思い出である。
昨日のこと。息子が「この夏は果物を食べてない。」と言った。冷蔵庫にはミカンが入ってるし、グレープフルーツもあるし、スイカだってよく出してるけど、彼が食べたいのは桃らしい。仕方ないから、昨日どんな味かわからないけど、スーパーで二つ買ってきた。
そして今日、朝食のあと皮を剥いて出すと、美味しかったらしい。よかった、美味しくて。梨も食べたいといわれたけれど、まだスーパーでは小さいのしか見かけないので、もう少ししたらね、と答えておいた。
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