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2011/05/24

♪悲しいほどお天気

これはユーミンの曲のタイトルです。ひとりひとり未来はどんな風になるのかなぁって思いながら暮らしている女子学生たちの心境を、上手に表現した歌だと思います。

  ♪ 悲しいほどお天気

人間は長いこと生きてくると、その昔自分がどんなことを考えていたか忘れてしまうことがよくあると思います。今味わっていることのほうが重要で、記憶が上書き保存されてしまうような感じとでもいいましょうか。しかし心によぎった様々な思いは、時には甘く時には冷たく、心の奥の引き出しにしまわれていくようです。でも以前と同じ光景に出会ったとき、ふと引き出しからその想いが溢れてくるような瞬間を、誰しも味わった事があるでしょう。

私は思い当たる瞬間が多いようです。それはどうといったことのない記憶です。例えば昼寝しているときに、遠くから小学校のチャイムの音が風にのって聞こえてきたときとか、人気のない道をバイクが通り過ぎていく音を聞いたときだとか。道端のオレンジ色のケシの花が朝は咲いたばかりだったのに夕方通りがかるともう散っていたりとか、燃えるような夕陽が川面を照らしているのを見たときとか。特に思い出の歌を聴いたときなど。その頃の自分の状況がはっきり思い出され、考えていた事が甦ります。そんなとき私は、いろいろな経験の積み重ねのうえに、今の自分があるのだなと感じます。

***************

人間は悲しいほどたくましくしなやかな生き物です。母親はその中でも特別、強い力で子どもを守る本能を持っています。私はこのご家族が味わった患難と比べたら程遠いかもしれないですが、同じような想いを抱いて子育てをしてきました。ですから、感極まってしまって、うまくこの本の内容を紹介できないのですが、読み終わって感じたのは今日の文章のとおりです。私は本を書き上げた夏野さんが、これから階段をまたひとつもふたつも上って、晴れやかな青空のもと、ひまわりの前で笑っている姿を想像します。私たち母親には、子どもたちが自分の手を離れていったら、残っているのは自分の前に続いている道しかありません。私はそのことを心に深く刻んで、これからの毎日を過ごしていきたいと思いました。

お月さん、とんでるね―点頭てんかんの娘と共に生きて (銀鈴叢書ライフデザイン・シリーズ)
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コメント

 ののかさん、拙著をお読みいただき、ありがとうございます。「人間は悲しいほどたくましくしなやかな生き物です。母親はその中でも特別、強い力で子どもを守る本能を持っています。」というののかさんの思いに深く共感します。私自身、悲しいほど、たくましく生きなくてはなりませんでしたが、そのたくましさを「しなやか」ということばで飾っていただいたようで、うれしく思います。
 「悲しいほどたくましくしなやか」という表現の心打たれました。拙著をお読みいただいてそのようなすてきなことばを思いつかれたのでしたら、感無量です。

 「晴れやかな青空のもと、ひまわりの前で笑っている姿」・・・そんな心象風景もすてきですね。そんな自分の姿を思い浮かべて、勇気をいただきました。心より御礼申し上げます。

 本当にありがとう。ことばにつくせません。

投稿: 夏野いづみ | 2011/05/25 00:30

いづみさま。

コメントありがとうございました。こちらこそよい本をありがとうございました。

これからもよい社会になるよう祈りつつ、一緒に前に進んで行きましょう。

投稿: ののか | 2011/05/25 21:29

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