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2011/10/04

映画「沈黙の春を生きて」

10月21日まで、東京の岩波ホールで「沈黙の春を生きて」という映画が上映されている(情報はこちら)。そこに出かけて この映画 (←予告編をご覧になれますが、体調が悪かったり見る勇気のない方はクリックしないでください)を見た知人から、先日電話で感想を聞いた。大変気が滅入ってしまい、夕食をとる気になれないとおっしゃっていた。

環境問題を世界で初めて告発したレイチェル・カーソン(クリックするとプロフィールがわかります)の本で、一般的に知られているのはこの2冊。私が持っているのは上の本。子育ての中で、自然に触れる喜びを味わうことができたのは、この本のおかげだと思う。しかし何より有名なのが、もう1冊の『沈黙の春』だ。

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レイチェル・カーソンは、農薬として使われ始めた化学物質の危険性を訴え、アメリカ社会に警告を発した。しかし結局それは凶悪な兵器となってベトナムの密林全部に「枯葉剤」として降り注がれてしまい、今もなおその後遺症に苦しんでいるのはベトナムの人だけではない。なんという悲劇だろう。でも人は、命ある限り生きるものなのだ。その厳しい現実を見つめたドキュメンタリー映画が、日本女性が監督をつとめるこの「沈黙の春を生きて」だという。枯葉剤による健康被害は、ベトナム戦争当時「枯葉剤は人体に影響はない、安全だから大丈夫。」と言われていたアメリカ兵とその家族にも及んだのだった。

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現在この映画が上映されているのには、意味があると思う。

日本は1945年8月に、2つも原爆を投下された、世界で唯一の被爆国である。以来、核という面で考えれば原爆と同じである原発について警告を発し続けた多くの人がいた。原爆では多くの人がこの日本で悲惨な最期を迎えた。生き残った人たちも、長い間苦しんだ。今もなお後遺症は続く。しかしどういうわけか平和利用という名のもとに、「安全な筈の」日本の原発ラッシュは続き、危惧されていた事故が起こってしまった。日本は再び、放射能の脅威にさらされている。いや日本だけではない。福島第一原発の収束が長引けば、地球規模の大汚染になるのは目に見えている。本当に大変なことだ。

日本大震災からまもなく7ヶ月がたつけれど、私には答えがまだ見つからない。大地震に大津波。それだけでも甚大な被害を受けた日本。想像を絶する数の方が亡くなった。家が、街が、壊された。生活が壊された。しかしそこに原発事故が加わらなければ、もっと違った今があったろうと思う。何もかもが実に残念なことだ。

この現実の中くじけずに、町の復興のために尽力している方々がいる。原発事故の現場でも、命懸けで働く人々がいる。しかし私は、避難しないで放射線の影響を受けざるを得ない地域に暮らしている子どもたち、弱い人たちのことを考える。中には自分の意思や力で、現実を受けとめて強く生きている人たちもいらっしゃる。だが私は、少し距離があるところに住んでいるのに、すっかり気力が弱ったままである。目に入ってくる秋の気配は例年と変わらず美しい。悲しいほど以前と同じである。けれど確実に、今までとは違う世界が広がっているのだということが、受け止めきれない。せめて身体だけでもなんとか折れないで、子どもたちのためにしっかりしなくてはと思ってはいるのだが。

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コメント

ベルギーの核廃棄物処理施設で放射性物質による
汚染事故があったと昨日の朝刊に小さい記事が
載っていました・・

本当にねえ・・
どうしたらいいのかrun

その本2冊とも持っていますよ

予告編みて思い出したのですが、昔テレビの
ドキュメンタリーで見た映像の一部が使われて
いるような気がします

著者がケネディ大統領に問題を訴え、彼もそれを
真摯に受け止め・・それからまもなく凶弾に
倒れてしまった・・アメリカの方向性が変わる
チャンスだったのに・・
という内容(だったと思うのですが、ものすごく
前に見たのであやふやですがsweat01

投稿: ikko | 2011/10/08 09:17

ikkoさん、コメントいつもありがとうございます。

本当にこの現実には、ため息しか出ないのですが、私はあきらめたくないのですよね~。ケネディ大統領に、そんなお話があったとは知りませんでした。

今日もまた、金木犀の香りのなか綺麗な風景を家の中から眺めてのんびりしました。もう昔に戻れないんだな~とぼんやり考えながら。

投稿: ののか | 2011/10/08 18:43

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