山に向かひて
阿蘇から帰った娘が、宿題で俳句を考えていた。山の上で、この空は遠い故郷とも繋がっていると思ったという内容の句を作ったのを見て、この子も私と同じく横浜が恋しいのだなと思った。
そんなときふと耳にしたのが、石川啄木の詠んだ歌。「一握の砂」より。
ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな
啄木の故郷からのぞむ岩木山がこの山である。啄木といえばこんな本も書いたはずだ。
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才能あるものでも恵まれた環境でない限り、なかなか裕福になるのは難しかった時代の詩人は、享年26歳で亡くなった。それから100年。日本は大戦を経験し、焼け野原と化した。それからやがて奇跡の復興を成し遂げたのだが…。今や再び、啄木が生きた時代のようになってやしないだろうか。大きな時代の波が寄せては引き、寄せては引く。日本の山たちはその人間の愚かとも思える営みを、じっと動かず高いところから、今日も眺めているのだろう。
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私が山と言うと思いだすのは、八ヶ岳で行われた教会学校の夏の合宿で、校長先生が引用した有名な聖句。旧約聖書・詩編1章1-2節(新共同訳。
目を上げて、わたしは山々を仰ぐ。
わたしの助けはどこから来るのか。
わたしの助けは来る
天地を造られた主のもとから。
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