ハンナの苦悩
今日から新学期が始まりました。この春休みの間、娘は少しリラックスしていたのか、話す内容がいつもと違いました。私は子どもが春休みでも勤務が不規則に入っていたので、毎日一緒に長く過ごせたわけではないのですけれど大事な時間でした。
それはどういう流れで出てきたのか記憶にないのですが、ユダヤ人をどうしてヒットラーは迫害したかと質問されたことがありました。私は理解している範囲で答えましたが、なおも興味がありそうだったので『アンネの日記』を読むのが一番と思い、まずは簡単なこの本を借りて娘に渡しました。彼女はすぐに読んで、とても感銘を受けていました。→★
絵本 アンネ・フランク | |
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私はちょうど息子にも、フランクルの『夜と霧』をすすめたところでした。
夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録 | |
V.E.フランクル 霜山 徳爾 みすず書房 1985-01-22 売り上げランキング : 292 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
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私自身は、なぜか以前読んだ本のことをしきりに思い出しています。それは『マルカの長い旅』という本です。ポーランドで第二次世界大戦下、ユダヤ人狩りが始まり、ハンガリー国境へ逃げる母親ハンナと娘たち。しかし熱を出してしまった下の娘のマルカは、それ以上逃げることができませんでした。この本について書いた2010年の記事はこちら(←ここをクリック)。これは実際にあった話を元に書かれた本だそうです。
マルカの長い旅 | |
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私は以前読んだときには、戦争の犠牲になる子どものことが気の毒でたまらなかったのですが、この頃は母親が避難する時期を見誤ったために子どもが犠牲になったと思えて仕方ありません。そのことがこの頃気になるのです。母親のハンナは医師でした。普段からドイツ軍将校と知り合いだったため、自分や家族は迫害の対象にならないと思っていたのです。しかしその当ては外れました。安全に避難する時期を逃しました。ハンナがそのことをどんなに悔やんだかと思うと、私はいたたまれない気持ちになるのです。
歴史は繰り返す、という諺があります。昔から古今東西を問わず、よりよく生きようとしていても過ちを繰り返すのが人間の常なのでしょう。でもこのような悲劇は再び繰り返してほしくないと思うし、この母親のような気持ちを味わうのは、ハンナだけで十分と思ってしまいます。現実はなんと残酷なものなのでしょうか。
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