♪ひとりよりふたり
今日の昼下がり、私はNPOの集まりに誘われていた。前の用事が終わってからそれまで間があったので、風に吹かれながら会場近くの喫茶店に立ち寄った。そこは小さいけれど落ち着いたお洒落な空間で、とても美味しい珈琲が飲める。しかも良心的なお値段。心の友が行きつけの店なのと、昨年暮れに紹介してくれた。
店には自然が好きなこだわり店主と、可愛い犬がいる。私は今日はその犬を撫でてとても癒された。先客の70位の男性が、マスターが庭に出ている間犬の可愛がり方を教えてくれた。その人はカメラが趣味で、散歩の途中にいつも珈琲を飲みに来るようだ。プリンセスのようなその犬は、撫でられると気持ちよさそうにひっくり返る。そのあとは私の手をぺろぺろ舐めて動かないので、しばらくずっとしたいようにさせていた。そういうことは久しぶりだった。忘れていた平和な気持ちが甦った。
やがて犬が新しく入ってきた客のところに行ったので、私はカウンターに座り直し、カプチーノを飲みながら壁際の小さな本棚から一冊を手にとってみた。水上勉の本だった。短編ばかりで読みやすそうだし、表紙が春らしい桜の絵だったので気に入った。古本につき100円とのこと。私は何か縁を感じて買うことにした。
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カウンターに戻ってきたマスターと水上勉について話したり、奥の庭で丁度アウトドア料理の撮影をしていたので見学させてもらったり、店に寄ったことで色々な出会いがあり私は嬉しかった。3時に店のそばで開かれた一人住まいの人々の集まりでも感じたことだが、人間はひとりは寂しいものなのだ。たとえひとり暮らしでも、決まった日に顔を合わせて安否を確認しあえる仲間だったり、ペットであっても心の繋がりを感じられる存在がいるといないとでは、人生の意味が変わる。人はそういう風にできている。多分そういう風に作られたのだ。
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