« 彼女を見ればわかること | トップページ | ゴールデンスランバー »

2013/09/12

♪夢の途中

2020年に開かれる夏季オリンピックの開催地が東京だと決まった朝、私は6時に目が覚めた。すぐにニュースを確認してそのことを知った時、これが夢の途中だったらいいのにと思った。もう一度眠ってから目覚めたら、別の都市での開催が決まっていたらいいのにと。

東日本大震災から2年半。いまだに故郷に帰れない人々、故郷にありながら不安に過ごす人々、健康被害を防ぐため遠くに移住した人々、色々な苦難がある日本に7年後はあるのか。7年後、私は自分が生きていることすら想像できないのに、テレビでは五輪開催関連のニュースが飛び交う。この状況を悪い夢のように思っているのは、私だけではないと信じたい。

私は子どもを思う母親の気持ちを考える。想像を絶する規模の地震が起こり、懸念されていた原発事故が起こった。その被害は津波による甚大なものだけでない。津波だけでもどれだけの命と暮らしが奪われたか、立ち直るには大きすぎる被害なのに、目に見えない放射能が何処まで飛散したか、その値が正確に示されていない。空間線量だけでは分からない。土壌の検査をし、検出された核種がどんなものなのか、その値が意味するところはどういうことなのかを、多くの国民は知らない。

多くの人々の混乱と苦しみを覆い隠すような五輪のニュースに、私は目と耳をふさぐ。同じ国のことなのに、復興を利用した金儲けが繰り広げられようとしている。福島からたった250キロの東京は、福島を切り捨てた。私はそう感じた。これから言いたいことも言えない時代がやってくる。ぼやっとしていたら、命がいくつあっても足りない時代になったのだ。

|

« 彼女を見ればわかること | トップページ | ゴールデンスランバー »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ♪夢の途中:

« 彼女を見ればわかること | トップページ | ゴールデンスランバー »