逃れの道
新学期が始まると、あちこちで学校に戻れないと悩むあまり命を絶つ若者のニュースが聞こえてくる。痛ましい限りである。もう少し生きてゆくと、もっと辛い試練が待っているかもしれないが、思いもしなかった救いがあるかもしれないのである。トラブルの明確な解決方法が分からなくても、逃れの道はきっとあるだろうに。
ここで「子どもには取り返しのつかないことはない」と昔大江健三郎の本で読んだのを思い出した。それから、大江健三郎が恩師の渡辺一夫からもらったという置物のエピソード。壁で囲まれた城をよく見たら、城からの逃れの道があったという話。あれはどの本に書いてあったのだろう。
それが気になり時間があったので、私は駅前の図書館まで行ってみた。三連休の割には空いていた。大江健三郎の書棚だけでなく、書庫にある見覚えのある本も出してもらって、あちこち見るが見つからない。大江ゆかりの挿絵があったはずだが、昨日は結局分からずじまい。それでも図書館は私の大好きな場所なので、ゆっくりゆっくり館内を回った。絵本コーナーで知人に会い、一緒に良さそうな本を選び近況を伝えあったのが嬉しかった。出来心で引いた図書館おみくじは「凶」。苦笑いしてあまり読まずにそこに結んできた。
帰り道。買い物の前に馴染みのギャラリーを覗いたら、画廊主である友人の姿が見えたので寄り道。コーヒーを一杯御馳走になって色々話した。いい作品を見せてもらい感謝。なかなか手はでないけど、本物を見るのはとても私には有り難い豊かな時間であった。~このように、実生活では悩みが尽きない大人でも、逃れの道は用意されている。取り返しのつかないことは、たぶん滅多にない。
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コメント
久しぶりにのぞかせてもらいました!
年末実家で楽しく過ごして懐かしい人に会えて
良かったね。逃れの道、誰にでも用意されてると思っていても、追い詰められてしまうと、見えなくなってしまうんだろうね。。。今年も素敵な年になるように。お互いね。
投稿: まるにゃん | 2016/01/12 09:58
コメントありがとうございます♪
なかなかしんどい状況だと大人も追い詰められちゃいますが、今は必ず過ぎていく。そうするとまた別の景色が見えてくることを知っているからやり過ごせるのかもしれないですね。
お互い良い年になるといいですね(^◇^)
投稿: ののか | 2016/01/14 00:43