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2010年4月24日 (土)

宮部みゆき 『孤宿の人』 読了

孤宿の人〈下〉 (新潮文庫) 孤宿の人〈下〉 (新潮文庫)

新潮社 2009-11-28
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長かった。長かったけど、退屈なんかしなかった。登場人物が、みなよく描けており、作家の力量がうかがえた。 最後、あふれる涙を抑えることができなくて困った。

以下ネタバレ。

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阿呆の「呆」というところから名づけられた、気の毒な身の上の「ほう」。その「ほう」を優しく迎え入れた四国、丸海藩の医師・井上家の人々。特に琴江が、何かと世話をやいてくれることで初めて人間としての尊厳を味わうほうだったが、なんとその琴江が毒殺されてしまうところから、話が次々と展開する。 そののちほうは、岡っ引きの若い女性・宇佐と出会う。しかしほうは、大きな政治の力のなかで、利用され、恐ろしい加賀様の屋敷の下女にやられてしまう。 加賀様とほうとの、つかの間の心の交流。学のないほうに、加賀さまは、お前の名前は今日からはこう書くのだ、とある漢字を教える。その漢字の通り、加賀様から危機のときお役をとかれたほうは、その名の通り安全な方角を目指して逃げる。 そして…悲しい別れが訪れる。 なんて救いのない話、と暗い気持ちになっていたら、加賀さまはなんと、下女のほうのために、今度からはお前の名前はこうだよ、と、ある漢字を書いて残しておいてくださったことが分かる。 その漢字とは? 私はクリスチャンなので、ついこの言葉を思い出した。旧約聖書にある言葉である。 「私の眼には、お前は高価で尊い。」

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